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【開催報告&当日動画】UDC2まちづくりトーク01「屋外空間の活用からパブリックライフを考える」

まちづくりトークは、UDC2関係者に限らず広く市民の方々と一緒に柏のまちづくりに関係するテーマについて、知見を深め交流の場となることを目的としています。

今回のまちづくりトークでは、ストリートの魅力的な取組みを実践されている大宮の事例と、ダブルデッキ上でのマルシェや、身近な空き地を開放することで地域の人々が利用できる仕組み(カシニワ制度)の事例について、ゲストをお招きしてお話を伺いました。

コロナ禍における感染防止に取り組む日常の中で、昨今屋外空間のあり方が問い直されてきています。これからの柏のまちづくりを考えるにあたって、屋外空間の価値を高める取組みを学ぶことは、柏の街の魅力向上にも繋がるでしょう。

以下に、当日の内容をご紹介します。

 

1.概要

 

・タイトル:屋外空間の活用からパブリックライフを考える
・日時:2021年7月19日(月)18:00‐20:00
・形式:オンライン(ZOOMウェビナー)+ 現地会場(柏商工会議所403号室)
・内容:1部 ゲストトーク 2部 トークセッション
・定員:オンライン(300名)・現地会場(15名)
・参加費:無料
・主催:一般社団法人柏アーバンデザインセンター(UDC2)
 
・1部ゲストプレゼンター:
石黒卓|UDCOサブディレクター兼デザインコーディネーター
鈴木亮平|NPO法人 urban design partners balloon 理事長/株式会社バルーン 代表取締役
 
・2部パネラー:
安藤哲也|柏アーバンデザインセンター副センター長
 
・2部コーディネーター:
梅岡恒治|柏アーバンデザインセンター ディレクター

 

 

2.当日の動画

 

 

◆動画その1:安藤プレゼン「UDC2の取組み紹介」

 

◆動画その2:石黒プレゼン「ビジョンに接続するストリートマネジメントの展開」

◆動画その3:鈴木プレゼン「空きからストリート・パブリックを考える」

 

→動画その4:トークセッション

 

 

3.トークセッション要旨

大きく分けて、下記の5つの内容についてお話を伺いました。途中、視聴者の方々からの質問にも回答しています。

 

①   事業性

まちづくりには長い年月がかかりますが、パブリックスペースや公共空間の価値の向上を考えると、長期にわたってパブリックスペースを運営する必要があります。そこで長期間運営していくためには事業性が必要不可欠だと考えられますが、どのように取組むことでその事業性という部分を実現しているのか、お聞きしました。

まず、3人とも規模感が大切であると意見が一致しました。

○石黒
事業を考えた場合、①実費相当の収入を得る、②マネージャーを雇えるほどの収入を得る、③長期間で大きな収入を得る、とまず大きく3つのフェーズに分けて考えています。

〇鈴木
例えば農家さんで言えば、パブリックスペースで何をするかと言うと自分の野菜を知ってもらうことがまず大切。これは上で言うところの実費相当を稼げれば良いレベル。ただし、これだけでは事業が成立しないので補完する事業もしっかりと回していき、全体を連動して回していくことが次のステップになると思います。

〇安藤
公共空間の利活用は現在全国的に流行していますが、それを持続可能なものにしていかなければ、ただの流行で終わってしまいます。縮小時代に突入していくと、民間の投資が滞りがちになるので、公有地での小商いのような活動を推進することは非常に重要だと考えています。いかにして百万円単位の収入を得られる事業を展開するか。そこで、先ほどお話した国交省グランドレベルデザインのような話が重要になると思います。ストリート~公開空地~低層部の店舗が一体的に考えることが重要になってくるのかなと思っています。

 

しかし、既得権益の問題が起きる可能性があります。そこで、石黒さんは公募という形をとることで機会の平等性を確保し、対策を行なったそうです。また、公募という形をとることで結果的にやる気のあるメンバーが集うことにつながったと話していました。

鈴木さんは、市民の判断に委ねるというような考えを示しました。

 

〇鈴木
新しく何かが始まる際に反対者が出ることは当然のことで、根気強く説得を続けるのではなく、まずは1度チャレンジをする。良いものであればそのまま受け入れられ、協力者や売り上げの増加というような結果が出る。逆に合わなければそのまま淘汰されていくと思います。このように市民の判断を仰ぐことも必要だと思っています。

 

②    見えないメリット

公共空間に事業性とはまた別として、新たなコミュニティのあり方やパブリックライフを生むこともパブリックスペースの大きな価値の1つです。これは売り上げのように数値化して結果を見ることが難しいですが、このような可視化が難しいメリットについてどのように考えているのかお聞きしました。

〇石黒
大宮の商店街にてLINEグループを作成され、横の繋がりが強化されたという出来事がありました。

 

関係性の向上はなかなか可視化するのは難しいですが、LINEグループができたというのは1つの進展であり、今後良い影響をもたらすと考えることができると思います。また、ヒアリング調査からは、売り上げだけではなく大宮のために公益性を持って行動している方が多いということも分かったそうです。

 

〇鈴木
モチベーションを持った人、担い手が現れることで事業の持続や発展が実現すると思うので、このような人が現れることが大きな成果なのではないかなと考えています。ですから、プロジェクトごとにキーマンを定め、担い手になってくれそうな方々のサポートやアシストをするよう常に心がけています。 

また、鈴木さんは分野や土地との関係性がなくとも、モチベーションがあることで十分な担い手になる可能性があると実際に感じていました。テーマや分野を区切ってプロジェクトを考えないよう注意しているそうです。

 

〇安藤
可視化しにくいメリットで面白い事例としては愛知県豊田市の「あそべるとよた」プロジェクト。ペデストリアンデッキ上にコンテナを設置しカフェを常設する社会実験なんですが、この社会実験の成果の一つとして、ここでカップルが10組ぐらいできたという話を聞きました。パブリックスペースで人と人をつなげるきっかけづくりができたことは、可視化しにくいけど大切な話だと思います。柏ではカシワテラスにて、朝活・夕活が生まれたことなんかも可視化しにくいけど大事な話だと思います。

 

視聴者から「UDC2のKIDIYS PARKでは市民主体の自主管理組織が生まれたとのことだが、どのように生まれたのか。簡単な話では無いはずだが、KIDIYS PARKを作る過程だけでそのようなコミュニティは生まれるのか」という質問がありました。安藤副センター長からは、市民がまちづくりの現場に出てくることが「簡単な話ではないこと」を理解できる人を増やすことが重要であるという指摘がありました。

 

〇安藤
実はストリートパーティーからの繋がりなんです。ストリートパーティーの実行委員に何度も参加してくれるメンバーにKIDIYS PARKの話をしてみたところ、「それにも関わりたい!」と繋がりました。「広場を作りまーす!誰か管理運営しませんかー?」ではおそらく誰も集まりません。市民が参加できる土台を何年も前から少しずつ作っていました。

 

③    パプリックスペースの発見について

柏セントラルでは公園のようなパブリックスペースが少ないという課題があります。そこで、石黒さんと鈴木さんにどのように活用できるパブリックスペースを発見していらっしゃるのかお聞きしました。

 

〇石黒
はじめから市街地の中心で探すのではなく、少し離れた場所の空き地などから探しています。

〇鈴木
どこにでも可能性はあると思います。そのように見せ、そのように発信することで、多くの人に「ここも使えそうだ!」という考えを持ってもらえるのではないでしょうか。そのためには「誰かの土地だから使ってはいけない」ではなく、「誰も使っていないから使ってしまおう」くらいの感覚が大切で、どこでも自分たちの活動ができるチャンスが転がっている、そのような認識を我々がもっと後押しするべきだと思います。

〇安藤
パブリックスペースはそうした性質を持つべきだと思います。ただ、普通の市民はパブリックスペースの使い方なんて分からないので、そうした市民が街に関われるようサポートするのが我々の存在意義の一つだと思います。また、パブリックスペースの利活用については寛容性も重要になりますので、きっちりした書面でのやりとりばかりではなく、お互いが信頼し合う人間関係を築き、お互いに責任を持ち合って自治を行うようなまちづくりが必要だと考えています。

 

④    私有地の公共化の可能性

トークをご覧になっていた方から「私有地の公共化は進む可能性はあるのか?」という質問があったので、そちらについて3人にお答えいただきました。

〇安藤
進むと思います。今の時代は、もうバブルの頃のような容積率いっぱいにビルを建てテナントを入れるというやり方では、テナントが埋まらなくなってきています。それ以外の付加価値を付けなければ選ばれること自体が難しい。例えば、企画の段階からベンチャーやフリーランスの方などと一緒に話し合い、建物をリノベーションしていくような取組みは進んでいます。最初からテナントが全て埋まりますし、愛着も湧くのでテナント離れが起きにくいのもメリットです。

〇石黒
そうですね、「私有地の公共化・公有地の私有化」は進むと思います。ビルの低層部に、緑地や歩行者の通行機能を持たせることで、賃料は取れませんが通行者に滞在性を持たせることができます。それによってテナントに商業機会を提供することが可能になりますから、結果的にテナントが入り、ビル自体が生き残っていくことにつながります。

〇鈴木
お二人の言う通りだと思います。僕自身は、他にビルのオーナーの趣味などが、建築やテナントに現れるともっと個性が出ておもしろい街並みができるのではないかと思ったりしています。

〇安藤
そうした事例で言うと、姫路駅の大手前通りの社会実験でマルシェを仕掛けていたのですが、出店する店舗を沿道のビルオーナーが選定するという仕組みにしていました。例えば、Aビルの前のスペースでは、Aさんが自分で出店するか、Aさんが知り合いを探してくる、といった形式です。通常、離れた街に住んでいるビルのオーナーは街に関わる機会がありませんが、こうした取組みをすることでビルオーナーが街に関わる機会を創出できます。柏でもそんなことが出来たら良いなと思っています。

 

⑤    担い手の属性について

次にまちづくりの担い手における男女や年齢などの属性について質問がありました。

〇鈴木
僕は特に男女等は意識せず、プロジェクトのキーマンやリーダーになる方の性格や動き方に合わせてこちらも動くということを意識しています。

〇石黒
UDCOでは、広報面において世代によってメジャーなアプローチが大きく変わってくる中で、その世代に当てはまらない人も他のアプローチを用いてしっかりフォローするということを意識しています。例えば、高校生には「facebookなんて見ない」と言われました 笑

〇安藤
UDC2は法人としての固い側面と、市民参加の柔らかい一面があるのですが、前者ではほぼ男性のみです。逆に後者は女性が多いですね。前者にも女性が参画してほしいのですが、正直苦労しています。

 

最後に登壇者の3名の方から一言ずついただきました。

〇安藤
パブリックライフというものを考えた時に、屋外で過ごす時に居心地が良いのが行きたい街ですし、住みたい街だと思っています。柏の街をグランドデザインに基づき、融合都市として居住環境の向上を目指し、パブリックスペースの質を上げていきたいと思っています。今日のお話を伺ってUDC2に興味がある方がいらっしゃいましたら、是非何かご連絡いただければ、一緒に何かできるかなと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。

〇石黒
居心地の良い公共空間や滞在性の高いパブリックスペースなどが価値のある場所であると多くの人が認知するようになり、そのような場所がある街がメディアで発信されたり、コンテンツを抱えたりしています。そのような中で、まちづくり団体として今後も意見交換しながら良いように進むと良いなと思っております。ありがとうございました。

〇鈴木
僕自身、パブリックスペースを何か自分のやりたいことをチャレンジする場や、自分のお店を広げていくためのステップなど自分のチャンスだと捉え、新しい取り組みを行なっていく方が増えていくとさらに街が面白くなるかなと思っています。今年から柏駅前に少し関わっていて、またみなさんといろんなチャレンジできれば面白いなと思っておりますのでよろしくお願いします。ありがとうございました。

 

 

4.アンケート結果

 

→アンケート結果

 

 

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